住宅ローンの支払いを滞納しているという方が最近増えてきています。延滞してしまったタイミングでもかなり遅いですが、滞納初期の段階から対策を練っておかないと、後になって大変な思いをすることになります。
そのようなことにならないように、住宅ローンを滞納したらどうなるのか、どうすればよいのかについて、「住宅ローンを滞納したらどうすればよい」ということでご説明いたします。
住宅ローンを滞納した場合にどうなる?
住宅ローンを滞納した場合、まず始めに3~6ヶ月程で住宅ローンを組んだ銀行等が個別に委託した保証会社が、残りの債務を全額肩代わりして弁済します。
これを「代位弁済」といいます。このとき、住宅ローンの抵当権(担保)も代位弁済した保証会社に移ります。
代位弁済をした保証会社は、肩代わりしたお金を回収するために当該住宅に付いている抵当権(担保)を実行します。具体的には、抵当権が付いているマンションなどの不動産を強制的に売却することを裁判所に申し立てるのです。これを競売といいます。
一見するといいように思えますが、競売の場合には、裁判所の指揮のもと決まった期間に売却しなければならないことや、入札による「競り売り(せりうり)」で買い手が決まるために、通常の価格よりもはるかに低い金額で売られることになります(基本的に入札価格の中で最も高い額で落とされます)。
もし保証会社から「代位弁済の通知」が届いた場合、競売の一歩手前と考えてよいので、すぐ行動するようにしましょう。
競売になると、すぐに退去しなければならないのか
即退去ということではありません。競売が始まっても実際の買い手が決まって引き渡すまでには時間がかかります。
よって、その間は、住宅ローンを払わないまま住み続けることができるのです。しかし、競売になると裁判所が競売物件として新聞やHPで公開するので、競売にかけられたことが近隣の人に判ってしまう恐れがあります。
そして競売にかけられたからと言って、住宅ローンがなくなるということではありません。なぜなら、多くの場合住宅ローンを組み始めた時よりも中古の物件となっているために、その売却額は購入時よりも安くなるからです。
競売価格の目安としては、一般的に市場価格の6割程度と言われています。よって、ローン残債務のうち競売で得た売買代金を超える部分は無担保の借金としてそのまま残ってしまうのです。
また、競売が決定されてしまうと、止めることは出来ないので、事前に手を打つようにしましょう。通常、住宅ローンを3カ月以上延滞すると競売の手続きが始まってしまいます。そうならないためにも、住宅ローンの滞納はできる限り早めに解消するよう心がけましょう。
住宅ローンを滞納した場合にはどうすればよい?
まずは、住宅ローンを組んでいる金融機関に相談してみましょう。金融機関によっては、ローンを滞納した理由を説明することで、期限を延ばしてくれるようなところもあるかもしれません。1度や2度支払うことが出来なくても、その後きっちりと返済してくれればよいと考える金融機関もあります。ただし、1度や2度だからといって相談もなしに滞納していると、いきなり督促状が送られてくることもあるので、注意が必要です。督促状が送られてきたということは、競売に一歩近づいたということです。そうならないためにも、まずは相談することが大切です。
収入が減ってしまった、もしくは突然の事故などで、滞納分を支払える見込みがないという場合には、専門家である弁護士や不動産会社に相談するようにしましょう。
滞納が払えないという場合、強制的な競売を避けるために「任意売却」や「親子間売買」といった手続きを取ることが出来ます。任意売却は、強制的に売却される競売と異なり、住宅ローン債権者の同意のもと自ら不動産を売却することで、相場と同じくらいの金額で売ることが出来、引越し代もその中から捻出できるというメリットがあります。住宅ローン債権者もこの方がより多く回収できるので任意売却には協力的です。
また、親子間売買とは、売却に出した不動産を親などの親族に買い取ってもらい、その不動産を賃借することでそのまま住み続けることができるというメリットがあります。いずれにしろ、競売をするよりもはるかに良い結果になる可能性が高いです。
しかし、その手続きは、複雑な法律行為を必要とするために、法律の専門家である弁護士に相談するのが一番早く、確実に成功させることが出来ますので、まずは一度相談してみるようにしましょう。
絶対にしてはいけないこと
不動産会社に相談して不動産をすぐ売ってしまう
住宅ローンの返済が厳しい時にまず不動産をすぐに売ってしまうという方がいらっしゃいます。今は駅近のマンションか東京都心でないと大体オーバーローン(家を売却しても住宅ローンが残ってしまう)になってしまうケースがほとんどです。
不動産会社に住宅の売却見積もりを出してもらい、その見積もりを手にまず弁護士に相談することをおすすめします。不動産会社は「不動産を売るだけ」銀行は「自分たちが貸し倒れにならない様にするだけ」という目線で解決することがほとんどです。
法律のプロである弁護士であれば、「どうすれば家を残せるか」などご依頼いただいた方の方針を第一に様々な方法を検討することができるので、良い結果が生まれる可能性があります。
消費者金融からお金を新規で借り入れて住宅ローンの支払いに充てる
住宅ローンの返済が厳しいからと言って、消費者金融からお金を借りて、ローンを返済するということは、絶対にしてはいけません。借金に借金をかさねることによって、後から金融機関に借りた借金を支払うことが出来なくなってしまうからです。
住宅ローンの金利の相場は1%から2.5%と言われていますが、消費者金融の金利は18%から20%ほどになります。一時的に住宅ローンを返済するために借金をすることで、後々その金額は膨れ上がってしまいます。その結果、自己破産することになれば住宅も手放す羽目になるので本末転倒といえます。
家を守るためには
他の借金の返済を優先するために住宅ローンを滞納してしまうような場合には、他の借金の任意整理という債務整理の方法をとるべきでしょう。
また、他の借金が多すぎる場合には「個人再生」という手続き(住宅ローン以外の債務を1/5に減額)もおすすめです。
いずれにしても、これらの手続きは弁護士に依頼するしかありませんので、気になったらぜひ弁護士に相談しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「住宅ローンを滞納したらどうすればよい?」ということで、具体的にどうなるのか、またその解決策をご説明いたしました。住宅ローンを滞納したからといって、すぐに競売にかけられるというわけではありません。だからと言って、延納し続けてはいけませんが、焦る必要はありません。
住宅ローンが払えないという状況になってしまったら、まずは「弁護士か住宅ローンを組んでいる金融機関に相談してみること」です。それでも、競売にかけられてしまうという場合には、「専門家である弁護士や、住宅ローン相談を扱う不動産会社に相談する」ようにしましょう。急ぐ必要はありませんが、早めに専門家に相談することで、適切な解決法が見つかる可能性があるのです。
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