古くからご利用の方は「日本信販」という名前がお馴染み、業界大手「ニコス」の過払い金請求について解説!

三菱UFJニコスについて

三菱UFJニコス(以下「ニコス」)は、現在クレディセゾンと並び、国内最大手のクレジット会社の1つです。

信販会社最大手であった日本信販がその前身でしたが,2005年10月に日本信販がUFJカードを吸収合併し、UFJニコスに社名変更しました。2008年からは三菱UFJフィナンシャルグループの傘下(完全子会社化)となり、三菱UFJニコスと社名変更をしました。ニコスは、三菱UFJ銀行グループのクレジット会社です。

ニコスは三菱UFJグループに属しているので財政的にも安定しており,過払い金返還請求に対する対応はスムーズで、その返金率や返金の速さを見ても比較的良い方です。旧日本信販から利用していた場合には、この日本信販時代のキャッシング取引で発生した分も含めて、ニコスに過払い金を返還請求をすることが出来ます。

ニコスのカードでは、ニコスカード、MUFGカード、DCカード、マイベストカードなどが有名ですが、他にも多くの種類のカードが発行されています。これらのカードはカードごとに利率も様々ですから、過払い金が発生するかしないか、いくら発生するかについてもカードの種類によって大きく異なります。

例えば、マイベストカードは当初から金利が低いことが多く、過払い金が発生するとしても少額となることが多いといえます。

ただし、ニコスは平成20年以降、キャッシングの金利を利息制限法の制限内利率にまで変更しているので、平成20年以降にニコスカードでキャッシングを利用し始めた場合には、過払い金は発生しません。よって、ニコスカードの過払い金返還請求については、2007(平成19年)年以前にキャッシング利用していた方が対象となります(ショッピング取引では過払い金は発生しません)

三菱UFJニコスからの過払金回収の見込み

① 取引履歴の開示を請求してから到着するまでの時間

ニコスの場合、取引履歴開示に1~2ヶ月かかります。この履歴をもとに過払い金を計算し、その結果を報告するのが履歴到着後1週間ほどです。

② 取引履歴の開示されない期間がある

ニコスの場合、取引履歴が保存されていない期間があります。例えばニコスカードの場合は1995年以前の取引、UFJカードの場合だと1993年以前の取引については、取引履歴はすでに破棄したとの理由で、その部分の取引履歴が開示されません。その後の取引から非開示部分の取引を推定して過払い金を計算するという方法もありますが、裁判外の交渉ではニコスがこれを認めず、裁判を起こして請求したとしても、これを立証するのが至難の業であるため過払い金裁判の実務では開示部分だけの過払金を回収するのが通常です。

よって、平成7年より前から利用がある人にとっては、それ以前に発生した過払い金を請求するのは実際には困難といえます。

③ 裁判をしないで交渉した場合

ニコスに対し過払金返還請求催告書を送付すれば,1週間位でニコスから和解提案がきます。(これはニコスの担当者から電話で伝えられます)

このときの提案額の目安は、「過払い利息を充当しないで計算した過払金元金」の80~90%位です。過払い金の支払時期については、和解合意から2~3ヶ月後の入金日を指定してくることが多いです。

ただし、取引途中に中断期間があった場合(取引の分断と言います)その中断期間に応じて提案額は減額されます。分断期間が3年を超える長期にわたる場合には提案0円というケースもあります。「取引の分断」については後記3で説明します。

④ 裁判を提起して交渉した場合

ニコスは提訴して第1回期日が決まれば、その前に和解提案をしてきます。このときの提案額の目安は、「過払い利息を充当して計算した過払い金元金+過払利息」の90%位です。過払金の支払時期については,和解合意から3ヶ月後の入金日を指定してくることが多いです。

裁判をしないで交渉した場合と比べて、合意から過払金の支払までの期間にはそれほど違いはありません。

しかし訴外での交渉では、ニコスに限らず業者はみな、過払い金利息(5%)を認めないので和解提案額については、過払い金利息の充当の有無により大きな違いが出てきます。

  A:過払元金 B:過払利息 請求金額(A+B) 裁判外の交渉の場合和解金 元金の90% 裁判をして交渉した場合の和解金 請求金額の90%
過払金利息を認めず,充当しない場合 200万円 0円 200万円 180万円  
過払金利息を認め,充当した場合 300万円 20万円 320万円   288万円

例えば、過払金利息を認め充当するかしないかで以下のように請求金額も異なり、その結果裁判をした場合としない場合とで、和解金額自体も大きく違ってきます。

⑤まとめ

 以上のことから、ニコスの過払い金返還交渉については、裁判を提起して交渉した方が合理的であるといえます。なぜなら裁判を提起して交渉しても、過払い金が着金するまでの時間はそれほど変わらず、裁判をした方が最終的に手元にもどる過払い金の額が多くなるからです。

さきほどの③の例でいうと、裁判外の交渉なら和解金180万円、裁判をしたうえでの和解金なら288万円でした。通常、弁護士の過払い金成功報酬は回収額の20%(裁判での回収の場合は25%)ですから、これに基づいて報酬を計算して手元に戻るお金を計算すると以下のようになります。なお分かりやすくするため、消費税別で計算し他の報酬はないものとします。

(裁判外での和解)

 180万円-180万円×0.2=144万円(手元に残るお金)

(裁判をしたうえでの和解)

 288万円-288万円×0.25=216万円(手元に残るお金)

取引の分断について

「取引の分断」とは、過払金に関する法律上の争点の1つです。詳しく説明すると1つのクレジット会員契約に基づいて取引している途中に、いったん約定債務を完済してカード取引をしない中断期間があり、その後カード取引を再開したような場合に、中断期間の前後で取引が分断されるという主張です。分断されることによって分断された取引ごとに過払い金が計算することになるので、一連のものとして計算した場合よりも過払金の額が少なくなったり、時効で消滅したりするのです。取引の分断を主張する業者の狙いは、まさにこの点にあるのです。

取引が分断されるといっても、その中断期間の長短によって違いがあります。クレジットカードの場合は,消費者金融の場合と異なり約定債務を完済しても会員契約自体は解約されず、カードもそのまま保有して(キャッシングはしなくても)ショッピング取引を行ったりすることが多いため、通常1~1.5年位の中断期間であれば、クレジット信販業者は「取引の分断」を主張してくることはほとんどありません。

しかし、ニコスは1~1.5年位の中断期間でもしっかり分断主張をしてきます。そのため、そのような案件は裁判期日を何回か重ねることになります。訴訟提起後すぐに和解が成立せず、その後裁判が続くような場合にはニコスは訴訟代理人弁護士をつけて争ってきます。もっとも判決までとことん争うというものではなく、あくまで訴訟上での和解解決を求めて訴訟対応をしてくれるので裁判が長期間に及ぶことはまずありません。

過払金請求によりカードは使えなくなる

ニコスの場合、過払い金の請求をすると原則として、ニコスのすべてのカード(提携カードを含む)について清算手続をすることになるので、すべてのカードが利用停止となります。このようにクレジットカード毎の過払い金の請求ができないので一部のカードでも約定債務が残っていると、信用情報に事故情報が掲載される可能性があります。

また、ニコスのカードで支払決済をしている場合も注意が必要です。特に「ETC利用料」「携帯電話代」「インターネットサービスの利用料」等、毎月引き落とし(立替払い)が発生するものをニコスのカードで支払っているような場合です。このような場合,過払い金の請求をすることでカード決済ができなくなるので非常に不便なことになります。よってニコスに過払い金の請求に先立って、他の支払い方法に切り替えておく必要があります。

この点ETCについては、ETCパーソナルカード(高速道路6会社が共同で発行)による決済方法があります。このETCパーソナルカードがあれば、クレジットカードがなくても保証金を預けることで、有料道路でETCカードを利用することが可能となります。

ニコスが銀行の保証をしている場合

三菱UFJ銀行のカードローンについては、アコムが保証会社になっていることが多いのですがニコスが保証会社となっている場合もあります。

保証会社とは、銀行などが貸したお金が返ってこない場合や延滞している場合に債務者(=借り主)に代わって支払う会社のことを指します。銀行は、このような貸し倒れのリスクを避けるために、カードローン取引で保証会社を利用しているのです(通常,法相会社を利用することが銀行カードローンを申し込む時の契約の条件になっています)

銀行カードローンの利用者が返済不能になった場合、保証会社は利用者の代わりに銀行に返済をします(これを「代位弁済」と呼びます)ただ注意してもらいたいのは、保証会社が代わりに借金を返済してくれたからといって、カードローン利用者の借金がチャラになる訳ではありません。借金を返済する先が、銀行から保証会社に変わるだけです。

よって、三菱UFJ銀行のカードローンを利用している場合(ニコスが保証会社)ニコスに過払い金請求をすると、保証債務が残っていることを理由に三菱UFJ銀行からの借入れ分について相殺を主張してくることがあります。これは将来ニコスが銀行に代位弁済をしたときに、それをカードローン利用者に求償できるので、その債権と過払金とを相殺したいという主張です。また三菱UFJ銀行のカードローンを遅れずに返済していたとしても、ニコスに対し過払金を請求したことが今後における銀行との取引に何らかの影響を及ぼす可能性も否定できません。 ニコスに対し過払金を請求したいが,三菱UFJ銀行のカードローンも利用しているという方につきましては、ぜひシン・イストワール法律事務所に相談していただくことをお勧めします。さまざまな対処法をご説明いたします

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