不動産売却と違う?住宅ローンが残っている不動産を売却する「任意売却」って何?

住宅ローンを払うことが出来なくなると、住宅ローンを結んでいる債権者に、強制的にローンを組んだ住宅を売却されてしまいます。これを競売といいます。そして、その売上金で返しきれなかった住宅ローン債務を分割で返すという結果になってしまうのです。 競売 は手続きで言えば一番手遅れの状態で避けたいところです。

競売になる前に、円滑に再出発を図る手続きを「任意売却」と言います。任意売却を選択することで、債務者にとって多くのメリットがあるのです。では、任意売却とはどのような解決方法なのか、詳しくご説明いたします。

任意売却とは?

住宅ローンが払えずに滞ってしまうと、住宅ローン債権者に土地や住まいを売られるという強制的な処置がとられることになります。そのような解決方法を避けることができる手続きが任意売却なのです。

任意売却とは、住宅ローンが払えなくなり、住宅を売却してもローンが残ってしまうようなときに、その不動産を債権者(金融機関)の了解を得て売却することを言います。不動産会社などが住宅ローン債権者と債務者の間に入り、売買を仲介する方法のことで、これにより新しい住まいの手配のための交渉や、引越の手配など、競売に比べて有利に事を進めることができるようになります。

また、競売は限られた期間で必ず売らなければいけないため、売却価額が安くなりがちですが、任意売却ですとある程度高値で売却できる可能性が高いのです。

任意売却のメリット

任意売却のメリットは、大まかに3つあります。

メリット①「細かい費用を削減することが出来る」

1つ目は、「細かい費用を削減することが出来る」ということです。不動産を売却するという場合には、その不動産会社への仲介料や登記費用などの細かい費用がかかってしまいます。 しかし、任意売却の場合、そのような費用は売却代金から支払うことが認められているので、債務者の方に費用の負担をかけることはありません。

メリット②「競売よりも高値で売れる可能性が高い」

2つ目は、「競売よりも高値で売れる可能性が高い」ということです。競売になってしまうと、安い値段でたたき売りされるというケースが多いです(市場価格の6~7割程度で落札されることが多い)。これは競売が、決められたルールにしたがって不動産を売却する手続きだからです。つまり、競売では比較的短期間のうちに落札者(購入者)を選定するようになっているため、一般個人が入札することが少なく、転売目的のため安価で入札する不動産会社ばかりが入札するので、結果的に安価で落札されるのです。

しかし、任意売却ならば、自ら選択した不動産会社が、通常の売買と同様、時間をかけて市場からより良い条件で購入してくれる買い手を探し、債権者とすり合わせをして売買を仲介するので、競売に比べ市場価格に近い金額で売ることが出来るのです。

このため、債権者としても回収金額が多くなるので、交渉によっては、売却代金から引っ越し費用を融通してもらえることもあります。

メリット③「住宅ローンを滞納して家を売ったことが近所に知られない」

3つ目は、「住宅ローンを滞納して家を売ったことが近所に知られない」ということです。

競売の場合、物件情報は一般に公開され、新聞などにも競売物件として掲載されます。

すると、競売になったこと、つまり「住宅ローンを滞納した」ことが近所の人に知られてしまうこともあります。この点、任意売却なら不動産会社を通じて売りに出すので、周囲に余計なことを知られず売却できるのです。

任意売却のデメリット

任意売却のメリットをご紹介いたしましたが、もちろんデメリットもあります。ではどのようなデメリットがあるのかをご説明いたします。

任意売却のデメリットは3つあります。

デメリット①「手続きや交渉に時間と手間がかかる」

まず1つ目は、「手続きや交渉に時間と手間がかかる」ということです。競売の場合は、期日までにきちんと不動産を売却するために、裁判所が粛々と手続きを進めます。

しかし、任意売却となると債務者の希望価格と債権者の希望価格を照らし合わせて、それらを専門家に依頼して、買い手を探し、交渉や手続きを進めていくことになるので、競売よりも時間と手間がかかってしまうのです。

デメリット②「必ずしも任意売却できるというわけではない」

2つ目は、「必ずしも任意売却できるというわけではない」ということです。住宅ローンの債権者(金融機関)との間で売却金額に折り合いがつかない場合には、任意売却をすることができません。通常、住宅ローンを融資した金融機関は住宅に抵当権を付けていますが、売却するにはこの抵当権を解除(抹消)しなければならないので、売却金額について債権者に同意してもらう必要があるのです。任意売却をすることで、債務者の条件をある程度良いものにすることができますが、必ずできるというわけではないので、まずは一度弁護士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

デメリット③「専門家にも善し悪しがある」

3つ目は、「専門家にも善し悪しがある」ということです。いくら不動産の専門家といっても、善し悪しはあります。

「うちにお願いしてくれればこっそり○万円渡せる様に取り計らいます」など甘い事を囁いて、結局だめでした。で終了させたり、業者に不手際があり、競売よりも条件が悪くなってしまうというケース、また不動産だけ売却して残った借金については放置、などもあるのです。

住宅ローンが残ったままで不動産売却をする任意売却を依頼する際には、必ず、自分の足で運び、実際に良い業者なのかどうかを事前に調べてみること、また不動産を売却するだけでは終わりではなく、残った借金をどうするかも非常に重要なので弁護士に依頼するのがおすすめです。

シン・イストワール法律事務所では不動産の売却から残った借金の整理まで責任をもって対応いたします。

任意売却後の残った借金の処理

任意売却による売却代金を住宅ローン返済に充てても、ほとんどの場合完済できずに債務が残ってしまいます。この債務については、債権者と協議して返済しなければいけません。そのまま放置しておくと、裁判をして強制的に回収してくることも考えられます。

ただ、債権者としても抵当不動産の売却である程度回収したことや、家を失う様な状況なので、今までと同じ条件で支払っていくのが難しいことは十分わかっています。

債務者の収入や生活状況などを考慮してある程度返済条件は緩和してくれる場合が多いのです。このような支払方法に関する協議は、法律の専門家である司法書士や弁護士に依頼したほうがスムーズかつ、より良い条件で和解ができます。ただし通常、住宅ローン残債務額は大きくなることが多く債務額が140万円を超えると司法書士では扱えませんので、弁護士に相談することをお勧めします。

このような交渉はあくまでイレギュラー案件です。弁護士事務所によっては取り扱っていないところの方が多いかもしれません。

この点、シン・イストワール法律事務所では、住宅売却後のローン債務についての低額和解案件を数多く扱ってきましたので、お困りの方はぜひご相談ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は「住宅ローンが残っている不動産を売却する「任意売却」って何?」ということで、その具体的な内容や、メリット・デメリットについてご説明いたしました。任意売却をすることで、多くのメリットを得ることが出来ますが、一方で、デメリットを被ることもあります。

借金問題は100名の方がいらっしゃれば100通りの解決方法があるくらい複雑です。状況に合わせて、をするかどうかを決めることが大切ですが、判断することが難しいという場合は、任意売却の専門家や弁護士に相談してみるとよいでしょう。大切な判断だからこそ、専門家の力を借りて、よく考えてみると自ずと答えが出てくることでしょう。

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