債務整理した後の生活はどんなもの?クレジットカードや住宅ローンへの影響はある?プロが解説します!

多重債務によって通常の生活が送れなくなってしまった人に対しての救済措置として用意されている「債務整理」

実際に債務整理を行う場合は、債務整理の救済効果だけではなく、その後の生活の影響についても知っておく必要があります。こちらでは、クレジットカード・住宅ローンの契約、車・家などの財産、職業など、債務整理後の生活への影響についてご案内します。債務整理後にどんなことが起こるか気になっている方は、参考にしてみてください。

債務整理のパターンはいくつある?

一口に債務整理といってもいくつかのパターンがあります。一般的に債務整理と呼ばれている手続きは、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種です。借金が減額される、無理のない返済計画が立てられる、といった点では共通ですが、減額効果やその後の生活への影響などは細かく異なります。

債務者は抱えている借金の額や返済能力によって最適な債務整理手続きを選ぶことになります。多くの場合、債務整理では弁護士や司法書士にサポートを依頼することになるため、彼らと債務整理の方針を決めるなかでどの方法を選ぶのか決めるのが一般的です。

それぞれメリットとデメリットがあるため、自分の状況に合っていない債務整理方法を選ぶと期待していた救済効果が得られない、もしくはその後の生活において大きな足かせになってしまう、といった事態が考えられます。それぞれの債務整理方法の特徴についてあらかじめ把握しておきましょう。弁護士との話し合いの際も、本人にある程度の知識があるとスムーズになります。

以下ではそれぞれの債務整理方法について、手続き後の生活への影響をご説明します。

無理なく返済可能!任意整理後のメリットとデメリット

任意整理は弁護士・司法書士を通して債権者との合意を目指す手続きです。任意整理をすると遅延損害金や将来利息がカットされるため、支払いが楽になります。弁護士が直接債権者と交渉するため、法的な効力はありません。一方で、その後の生活への影響が少なく、債務整理のなかでは一般的な手続きとして利用されています。

任意整理後のメリットとは

任意整理の手続きでは、弁護士によって利息制限法にもとづいた借金の引き直し計算が行われます。この計算により、遅延損害金、不当に払いすぎていた利息、将来利息などがカットされるため、基本的には元本のみの支払いになります。弁護士・貸金業者間の交渉によっては、元本そのものが減額されることもあります。

また、返済期間を延長するケースも一般的です。通常、任意整理では3~5年の返済期間が設定されます。交渉次第ではさらに延長することも可能です。これにより、通常の生活を維持しながら負担なく返済していくことができます。

任意整理後のデメリット

任意整理にはメリットの一方でデメリットもあります。

クレジットカードの借金を任意整理した場合、すぐに強制解約となり使えなくなってしまいます。さらに、信用情報がブラックリスト入りするため、クレジットカードの審査通過が難しくなり、約5年から7年の間は新規のクレジットカードを作ることができません。

任意整理は車のローンにも利用できますが、車を処分しなければならないこともあるため注意が必要です。車の所有権が所有権留保付きになっている場合、車を売却してローンの返却に充てなければなりません。

任意整理は整理対象の借金を選ぶことができるため、住宅ローンを除外して家を残すことができます。他の借金を任意整理したとしても、住宅ローンの滞納さえなければ、家に影響が出ることはありません。

任意整理後の生活

ブラックリスト入りにより新規のローン契約、クレジットカード更新ができないといったデメリットは発生しますが、債務整理のなかでリスクが少なく、比較的手軽に実施できる手続きです。後述する手続きのような財産面や職業面での大きな影響はありません。借金の減額効果はそれほど大きくありませんが、困窮している生活から体制を立て直すために利用できます。

保証人への影響はあるのか?特定調停後の生活について

特定調停は任意整理と同じように利息のカット、支払い期間の延長をするための手続きです。任意整理との違いは、裁判所が介入する法的手続きである点です。

生活への影響はどれくらいあるか

任意整理や特定調停を行った場合も新しく賃貸借契約を結ぶことは可能です。ただし、保障会社へ保証を依頼する場合、審査に通らない可能性があります。

また、滞納していた家賃は借金扱いとなるため、特定調停の整理対象となります。特定調停を行うと、滞納分を分割で支払っていくことになります。

クレジットカードや住宅ローンの利用

特定調停を行うと信用情報機関に事故情報が登録されるため、クレジットカードの審査に通らなくなります。ブラックリストに登録される期間は5−7年程度とされており、その期間のクレジットカード利用・契約は原則としてできません。各種ローンやキャッシング、奨学金などもブラックリスト入りの問題により利用が難しいでしょう。

個人再生を行った後の生活について

個人再生は借金の大幅な減額と支払い期間の延長を測る手続きです。裁判者の認可が必要な法的手続きであるため、受理されると債権者は従わなければなりません。特徴として、自宅や車などの資産は保有し続けることが可能な点が挙げられます。しかし、新たな借入には制限があるため、注意が必要です。

生活への影響

個人再生の特徴のひとつは住宅を保有し続けられる点です。「住宅ローン特則」により、住宅ローンを債務整理の対象外にすることができます。車を保有し続けることもできますが、自動車ローンを返済中の場合は引き上げられる可能性もあります。

債務整理時点で契約している生命保険については解約する必要がありません。個人再生を行った後に生命保険を新規契約することも可能です。

会社を解雇されたり、職業の制限を受けたりすることはありません。職場から直接借入れをしていない限り、職場にその情報が開示されることもありません。

クレジットカードやローンの利用

個人再生を行うと手続き内容に関わらずブラックリストに登録されます。クレジットカード会社は定期的に顧客の信用情報を参照するため、事故情報が確認された時点でクレジットカードやローンの利用ができなくなります。同様の理由で新規の契約もできません。

行動が制限されるってホント?自己破産後の影響は?

自己破産は借金の返済義務そのものがなくなる法的手続きです。債務者への救済効果は強力ですが、債務整理のなかでは最もその後の生活に影響する手続きでもあります。生活にどのような影響を及ぼすのかご説明しましょう。

生活への影響

自己破産は借金減額効果の大きさと引き換えに最もその後の生活への影響が大きい手続きです。

代表的な影響といえるのが資産の問題です。自己破産を行うと試算価値のある自動車や自宅などは原則として処分しなければなりません。生活に必要な最低限の財産のみ所持することが許されています。

続いては賃貸契約についての影響です。自己破産したとしても、新たに新貸借契約を結ぶこと自体には問題ありません。ただし、ブラックリスト入りの問題から保証会社との契約が必要な場合は借りられない可能性もあります。

さらに、一部の職業制限もあります。自己破産を行うと弁護士や公認会計士などの士業、公務員、団体企業の役員などの職種に就けなくなります。また、これらの職種に就いている状態で自己破産を行うと、辞職しなければならないケースがあります。

クレジットカードやローンの利用

自己破産後は信用情報機関の事故情報が登録されるため、クレジットカードやローンの審査に通らなくなります。このブラックリスト入り状態が解除されるまで、新規契約はできません。ただし、5~10年程度経過し事故情報が抹消されれば、クレジットカードやローンを契約できるようになります。

ただし、デビットカードは口座から直接引き落とす即時払いのカードなので、ブラックリスト入りの状態でも新規契約が可能です。あくまで買い物の購入代金支払い用のカードがほしいのであれば、デビットカードの契約をおすすめします。

また、家族カードを持つこともひとつの選択肢です。ブラックリスト入りしても、本人以外の信用情報に影響はありません。家族カードは契約者本人の信用情報がクリーンであれば追加できるため、ブラックリスト入りしていない家族が入れば持つことができます。

過払い金請求はリスクなし?ブラックリストは?

払いすぎている利息の払い戻しを求める「過払い金請求」を債務整理として行うことも可能です。平成22年6月に出資法が改正される以前は、民事では無効な一方で刑事罰はない「グレーゾーン金利」を設定する貸金業者が横行していました。このグレーゾーン金利によって払いすぎていた利息を利息制限法で計算しなおし、返還を求めるのが過払い金請求です。

過払い請求は条件によってはまったくリスクがない可能性があります。過払い請求による生活への影響についてお話ししましょう。

借金を払い終えている、完済している過払い金請求

すでに完済している借金について過払い金請求を行ったとしても、生活への悪影響はまったくありません。多く払いすぎてた利息をノーリスクで取り戻すことができます。

過払い金請求ができるのは、基本的に全て支払い終わってから10年間限定です。(借り始めではないのでご注意ください。)完済済みの借金があれば、忘れずに過払い金請求を行ってください。

なお、過払い金請求対象の貸金業者が倒産している場合は請求ができなくなってしまいます。過払い金が認められてから時間がたっており、過払い金請求件数の増加によって利益が圧迫されている貸金業者も少なくありません。過去に借入れした貸金業者が倒産している事態は十分に考えられます。可能な限り早く過払い金請求を実施するようにしましょう。

返済中の過払い金請求はリスクがあるかも?

返済中の借金についても過払い金請求を行うことができます。この場合、条件によってはリスクが発生することもあるため注意が必要です。

引き直し計算の結果返還される過払い金が借金の残債より高ければリスクはほとんどありません。過払い金によって借金が完済され、債務はなくなります。

ただし、過払い金が返還されても借金が残る場合はリスクを警戒しましょう。この場合、任意整理と同じ扱いになり、手続き後には任意整理と同じ影響が生じます。

クレジットカードの過払い金請求についても慎重に検討しましょう。クレジットカード会社でも、キャッシング枠でグレーゾーン金利を設定しているケースがあります。この場合、過払い金請求は可能ですが、その会社のクレジットカードは使えなくなる可能性が高くなります。1社だけではなく、同じ系列のクレジットカード会社で同様の措置が取られることが多いようです。

ただし、この対応はあくまでクレジットカード会社独自のものであり、ブラックリスト入りしたわけではありません。取引のない他の系列のクレジットカード会社に申し込めば、通常は問題なく新しいカードを発行できるはずです。

債務整理後の影響を考えた上で自分にあった手続きを依頼する

債務者が抱えている借金額や生活状況・環境によって最適な債務整理の手続きは変わります。

債務者本人が知識を深め、自分にあった債務整理の方法を検討することは非常に重要です。一方で、法律や専門知識が絡む複雑な知識のため、理解できないことも多いかもしれません。債務整理は通常、弁護士と進めていくことになりますので、わからないことがあれば弁護士に相談してみてください。

債務整理を検討している段階であれば、弁護士事務所の無料相談サービスが便利です。過払い金の有無を調べるだけであれば無料で対応している弁護士事務所が多いため、ぜひ気軽に相談してみてください。

シン・イストワール法律事務所でが借金相談や過払い金の相談は無料で行なっておりますので、是非一度お問い合わせください。

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